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私なら早く終えられるだろうという、根拠のない自信から就活を舐めていたら、早々に本命だった会社の最終面接であえなく敗退。 何社か履歴書を出して少し落ち着いたところだ。 将来について明確なビジョンがもてず、現実逃避しているせいか過去の思い出ばかりが頭をよぎる。 ふと高校の頃の美術の先生のことを思い出した。 高校生の頃というのは、とてもグラグラしていて、友だちと何を話せばいいかも分からなかったし家に引きこもって勉強するかネットサーフィンするかという、今よりももっと暗い時期だった。 それでも何かやりたいと、美術部に所属していた。周りはアニメや漫画に関心の高い、いわゆるオタクっぽい女の子たちで、そこでも完全に浮いていたのであまり参加していなかった。 でも顧問の先生はこうして理由もなく入部した私を少しは気にかけてくれて、前後は忘れたがクイーンの話をしたおぼえがある。私が作った美術とも工作ともつかぬ作品も展示してくれた。卒業式には、合格発表前でナーバスになって足早に帰ろうとしている私をつかまえて、卒業祝いにメガネ拭きをくれた。 短髪で細身でさっぱりしたその先生がなんとなく好きだったのに、ボソッとお礼を言ってそそくさと帰ってしまったのを今でも後悔している。 あれからもう5年の月日が経った。今もまだ水色のプジョーに乗ってあの学校に通っているのだろうか。